去る2月9日に行われたゴー宣道場、10周年という大事な道場で基調講演を務めさせていただきました。
資料の印刷間に合わないとか、時間かなりいただいちゃったりとか、ありましたが、少しでも皆様に何か視点・視座や問題提起できたならばよかったなと思います。
私たちがどんなに国家権力や政治に無関心でも、国家権力や政治は私たちには無関心ではありません。むしろ、どうやって私たちを知らないうちに「動員」するかを考えて日々日常の断片で彼らは我々と接触してきます。
そうやって、彼らの都合で動く日常は、知らず知らずのうちに我々の中の多様なはずなアイデンティティを分断してきます。でも私たちはそれに気づかない。それは、道場で話したアルゴリズム、というだけではありません。日々我々は自分のアイデンティティを振り返らないと、いつの間にか誰かほかの人や集団の人生を生きているかもしれない。
投票にいかない、無関心になっていることも、裏を返せば消極的に「動員」されているのです。
選挙、政党及びこれに密接な市民運動、マスメディア、これらの関係はもはや動かし難い相互依存関係にあります。そして、それぞれの自陣を守るためだけの生態系の中で生きています。ここには、活きた「民主主義」はありません。崩れ落ちそうな看板にキレイな字で「民主主義」と書いてあるかもしれませんけど。
なので、我々で作っていきましょう。いまだ日本にはない「民主主義」とそれを刺激する「カウンターデモクラシー」を。モデルはありません、我々がモデルになりましょう。緊張感があるけど楽しそうな、そんなモデルになりましょう。
最後に、いろいろとありながら、お騒がせ者を見限らずいつも見守ってくださりこんな大事な場で発言の場をくださったよしりん先生、餅つきの合いの手のように口をはさんで餅をいい感じにしてくださる高森先生やいろんな思いがありながら堪えつつ大人の対応をしてくださっている笹さんともくれんさん、心から感謝の想いを伝えたいです。
そして、あんなに温かさと緊張感の入り混じった会場を設営してくださっていつも支えてくださる道場関係者の方々にも深く感謝しております。
10周年にこのように携われてとてもありがたいなと、かみしめておりました。
まだまだ戦いは続きますので、これからもいろんな提案ができるよう、走り回ります!
最後に、日曜日の資料にあげた参考資料を再掲しますので、是非本屋で手にとってみて、読めそうだな、読みたいな、というものから読んでみてください。そして、1人1人が語り部になってください。
・山本龍彦他『AIと憲法』(日本経済新聞出版、2018)
・キャス・サンスティーン(伊達尚美訳)『#リパブリック』(勁草書房、2018)
・渡辺将人『アメリカ政治の壁 利益と理念の狭間で』(岩波新書、2016)
・渡瀬裕哉『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか アメリカから世界に拡散する格差と分断の構図』(すばる舎、2019)
・ジェイミー・バートレット(秋山勝訳)『操られる民主主義 デジタル・テクノロジーはいかにして社会を破壊するか』(草思社、2018)
・ピエール・ロザンヴァロン(嶋崎正樹訳)『カウンター・デモクラシー 不信の時代の政治』(岩波書店、2017)
・マーク・リラ(駒村圭吾解説、夏目大訳)『リベラル再生宣言』(早川書房、2018)
・ブリタニー・カイザー(染田屋茂他訳)『告発 フェイスブックを揺るがした巨大スキャンダル』(ハーパーコリンズ・ジャパン、2019)
・岩井奉信他『日本政治とカウンター・デモクラシー』(勁草書房、2017)